求職者支援制度「第2の安全網」を恒久化

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いろはのい:求職者支援制度 「第2の安全網」を恒久化
(2011年11月9日 毎日新聞東京朝刊)

 雇用保険に未加入だったり、失業手当が切れた人に無料で職業訓練をし、低収入の人には月10万円の生活費を支給する「求職者支援制度」が10月からスタートしました。09年度から実施していた緊急の雇用対策を、法律に基づく恒久制度に衣替えしたもので、生活保護に至る手前で生活を立て直すきっかけになる役割を担います。生活福祉資金の貸し付けなどとともに、政府は「第2のセーフティーネット(安全網)」と位置づけています。

 生活保護の受給世帯数は過去最多を更新し、6月の受給者数は204万人を突破、過去最多に迫っています。第1のセーフティーネット、雇用保険は「正社員」を前提に設計されています。非正規雇用労働者が増えるとカバーし切れず、失業手当のない人が失職後、いきなり最後のセーフティーネット、生活保護を受け取ることが生活保護受給者増の一因です。すぐ生活保護に頼らずに済むよう、自立への弾みをつける「トランポリン」の役割を期待されているのが第2のセーフティーネットです。

 ◇講座受け技能習得

 その中核が求職者支援制度です。雇用保険に未加入だったり切れた人、仕事が見つからないまま卒業した学生らに民間の教育機関などが開く講座を受けてもらい、就職につながる技能を習得してもらうことを目指します。介護やパソコン、医療事務、美容などの実技訓練も含め、主に3〜6カ月の約500コースが用意されました。このほか、自治体などが運営する公共職業訓練の講座も受けられますが、こちらは主に失業手当の受給者が対象で、定員に空きがあった場合のみ受講できます。

 テキスト代は自己負担ながら受講料は無料で、交通費も実費が支給されます。さらに受講期間中(最長1年)は「職業訓練受講給付金」として月10万円の生活費が支給されます。ただし、これは「本人の収入が月8万円以下」かつ「世帯収入月25万円以下」で、「世帯の金融資産300万円以下」などの条件を全て満たす場合です。

 政府は求職者支援制度について、10月から半年で12万6000人が利用し、その8割が受講給付金を受けると想定しています。しかし、自治体からは、訓練コースが都市部に偏在しているとの不満や、「10万円では暮らせない」との指摘も上がっています。

 制度施行前、9月までの運用では問題も表面化しました。訓練内容のレベルが低いと苦情が寄せられたほか、業者の不正請求などもありました。受講に8割出席すれば給付金が支給されていたため、ぎりぎりの日数だけ受講し、就職活動に真剣に取り組まない例もあったといいます。このため10月からは、病気など正当な理由なく一回でも欠席すると支給が止まり、不正が発覚すれば最大で受給額の3倍の支払いが求められます。

 ◇資金の貸し付けも

 第2のセーフティーネットには、09年10月に始まった生活支援が主目的の「総合支援資金」貸し付けや、「住宅手当」の支給があります。同資金の貸し付けは、2人以上の世帯なら月20万円を1年間。ほかに敷金、礼金などの貸し付けもあります。連帯保証人をつければ無利子です。返済は半年間の猶予の後、20年以内です。

 また、住宅手当は失業で住まいを失ったか、その恐れがある低収入の人に6〜9カ月間、家賃を支給する制度です。東京都の区市部で単身者の場合、預貯金50万円以下で収入が月8万4000円以下なら、支給上限額は5万3700円です。約32万人分の予算を確保して始まりましたが、昨年6月をピークに利用は低迷しています。支給期間が短いこともあって、今年8月までの利用者は計6万9000人にとどまっています。



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